『ラッシュライフ』

まあまあ面白かった
恩田さんの『ドミノ』とかゲームの『街』を思い出させた。
でも内容は薄いなあ
重力ピエロの方が好きだったな
伊坂幸太郎の作品はつながりがあるらしい
もう一回重力ピエロを読もう。

p266
「まあ、カウンセリングというのがどういう手順で行われるのか俺にはさっぱり分からないがね、ただ、物を盗むのと似ているのかもしれない。部屋の中に隠された現金を探すのと、ここにあるものを引っ張り出すのは似ている」

そう言って黒澤は自分の頭を人差し指で突ついた。

「そこで胸を指差さないのが、いかにも君らしい」

p271
プラナリアは水がないと生きられないらしい。で、そいつを容器に入れる。入っていた水を抜く。水は一個所にしかないようにするんだ。そこにライトを当てる。そうすると水を求めて移動する。当然だな。で、それを繰り返すとだ、プラナリアはライトが当たる場所に移動するようになるんだ。水がなくても移動する」

「ライトが当たる場所に水があることを憶えるんだな。で、その実験をさらに何度も繰り返した。どうなったと思う?」

「ある時から、今度はまったく動かなくなった。ライトをいくら当てても、移動しなくなった。そうして水がないまま死んだ。」

「ただ、これはプラナリアが、『飽きた』からじゃないかと言われている。同じ繰り返しに飽きたんだ。その証拠に容器の内側の材質を変えたり、状況を変えるとまた学習を続けるらしい。とにかくだ、この原始的な動物ですら、同じことの繰り返しよりも自殺することを選ぶ」

「人間なんてなおさらだよ。何十年も同じ生活を繰り返し、同じ仕事を続けているんだ。原始生物でも嫌になってしまう、その延々と続く退屈を、人はどうやって納得しているか知ってるか?『人生ってのはそういうものだ』とな、みんなそう自分に言い聞かせてるんだよ。それで奇妙にも納得しているんだ。変なものだ。人生の何が分かって、そんなことを断定できるのか俺には不可解だよ」

p273
「君の言葉を聞いていると、本当にそうだった気がしてくるから不思議だ」
「同感だ。俺もおまえに話していると自分の出まかせが全部、本当に思えてくる」

p356
息を吸って一気に吐いてみた。
溜め息ではない、深呼吸だ、と自分に言って聞かせる。

p360
人生は一秒ごとに流れていっている。
それを自覚しているのか!