『蟹工船・党生活者』

小林多喜二

微妙
過去どのように労働者が迫害され、思想が弾圧されてたかを知るにはいいかも
でも共産主義思想を学ぶにはどうかな
なんか思想が偏ってて一面からしか物事を見てないようでなんかな
漫画で見る蟹工船もみたけどほんと大体あってるっていうのが的確
この本だとほとんど名前が出ず人物描写があまり掘り下げてない
これも手法なのかな
家族や仲間を犠牲にまでして党生活するのは共感できなかったな

p117
「殺されるって分ったら?馬鹿ァ、何時だ、それァ。―今、殺されているんでねえか。小刻みによ。彼奴等はな、上手なんだ。」

p134
「俺達には、俺達しか、味方が無えんだな。始めて分った。」

p191
眼鏡をかけて炬燵の中に背中を円るくして入り、その上に小さい板を置いて、私の原稿用紙の書き散らしを集め、その裏に鉛筆で稽古をし出した。何を始めるんだ、と私は笑っていた。母は一昨年私が刑務所にいるときに、自分が一字も字が書けないために、私に手紙を一本も出せなかったことを「そればかりが残念だ」と云っていたことがあった。

p197
「どうもお前の肩にくせがある…」
と云った。「知っている人なら後からでも直ぐお前と分る。肩を振らないように歩く癖をつけないとねえ…」
「あ、みんなにそう云われてるんだよ。」
「そうだろう。直ぐ分る!」
母は別れるまで、独り言のように、何べんも「直ぐ分る」を云っていた。

p250
私は雨が降れば喜ぶ。然しそれは連絡に出掛けるのに傘をさして行くので、顔を他人に見られることが少ないからである。私は早く夏が行ってくれればいいと考える。夏が嫌だからではない、夏が来れば着物が薄くなり、私の特徴のある身体つきがそのまま分るからである。早く冬がくれば、私は「さ、もう一年寿命が延びて、活動が出来るぞ!」と考えた。