『ロング・ロング・アゴー』

重松清

おもしろかった
じわじわくる
テーマは対岸の彼女に似てる
このテーマ好き
年齢・立場が変わるにつれて別れてしまう友達たち

すごい重松さんは生々しく書くから心の奥の方が痛くなるから読み進むのも苦しくなる時があるけど最後にちょっと救ってくれるから好き
一番好きなのは「永遠」
俺も何人の人を優先順位で切り捨て何人の人に切り捨てられたんだろう
この優先順位にはいろうとする努力も実にむなしい

どうしてこんな物語が書けるんだろう真理だよなあ
家族よりこういう人間関係の作品が増えてきた気がする

おれは生涯優先順位とか関係なく付き合える友達を何人作れるだろうか
大学入ってからよく考える

対岸の彼女は一歩踏み出して
この小説でもそれぞれ少しの奇跡が
でももうちょっと全面的なハッピーエンドの方が俺はよかったな

優先順位の話はマジで俺の思考と一緒で震えた

潰れそうなデパートの子と新規デパートの子とデパートに出店している和菓子屋の子
いじめられっ子とおじさん
障害を持ったユウちゃんとシノケン、バスケ仲間の石川くんと小島くん
自分の能力の限界に気づき始める僕と生駒先生
不運続きで周りになじめないムウとそれに重なる自分の娘
地元に戻り初恋の相手を探す瀬尾くん


飛ぶ教室

p129
割り算の答えの「余り」のように、どうにも収めようのないものが胸にいくつも残ってしまう。それが生きるということだ、と割り切ろうとするそばから、苦い半端なものが胸に溜まる。

p139
おとなになるというのは、「余り」のでない割り算を覚えるのではなく、「余り」を溜め込んでおく場所が広くなる、というだけのことなのかもしれない。

p169
子供が成長するというのは、自分の生きる世界に順位をつけるようになることだ。遊びよりも勉強、公立よりも私立、この子よりもあの子、自分はクラスの何番目、自分はあの子には負けていても、この子には勝ってい。順位がつけば序列ができる。優先する事柄もわかってくる。そのリストにしたがって正しい優先順位のものを選び取っていける子もいれば、間違った選択をしたせいで困ってしまう子もいる。

p176
二人とも正しい選択をした、ということだった。順位のついたリストをつくって、その序列にしたがって選択をして、もう二人が交わることはない。

p275
子どもが生きていくのはずいぶん疲れるものなんだな、チャーリー。

p282
無神経なルーシーがきみの繊細な心にずかずかと踏み込んできたからこそ、ほかの誰も教えてくれなかった自分の間抜けさがわかったりしなかったか?

p388
「間違えてる人なんて、誰もいないと思うよ」と言った。「でも、間違えなくても、うまくいかないこととか、どうにもならないことって、あるよ」