『封印再度』

森博嗣

まあまあ
森博嗣の親父ギャグといい無駄な比喩といいあんま好みじゃなかったな
犀川と西之園のコンビもそこまでキャラ的に好きでない
トリックは理系的
それはまあ嫌いじゃないけど
これが独特さかな
このオチで500ページも使うってどうなんだろ
無駄に長くしてるようにしか思えん
ミステリーでオチがあいまいなのは好きじゃない
あと今までの記述で予測できないのも

この話の主なトリックは3つ


1.子供の「いない」発言
→いない=死んだ


2.蔵の密室
→自然現象


3.壺と箱
→低温で融ける金属

p269
「日本の美は、だいたいその七五三のバランスだ。シンメントリィではない。バランスを崩すところに美がある。もっと崇高なバランスがある」
「そうだね…、法隆寺の伽藍配置、それに漢字の森という字もだいたい、三つの木の大きさが七五三だね。東西南北という文字だって、左右対称を全部、微妙に崩している…。最初からまったく非対称というのではだめなんだ。対称にできるのに、わざとちょっと崩す。完璧になれるのに、一部だけ欠けている。その微小な破壊行為が、より完璧な美を造形するんだよ」

p517
「自分を表に出さない。自分を消そうとする。それが、自分を高めることだと信じている。己を殺すこと、腹を切ることが綺麗なことなんだよね。美しいと、ビューティフルは、全然違う意味じゃないかな。きっと、綺麗な夕日を見て、ああ死にたいって思ってしまうんだ。しかも、それが全然悲愴じゃない。どうして、こんな綺麗な感情ができたんだろうね?なんかさ…、異物を押し込まれたところに嫌々できる、真珠みたいだと思わない?」

p537
「しかし、祐介君とケリーのこと、マリモさんの事故、それに、新しい仕事部屋の密封度…。まるでさ、単純な生き方をしようと望んでいるのに、どんどん人生が複雑になっていくことを象徴しているようじゃないか。自分の人生は一本道なのに、それが他人の糸と絡み合って、織物みたいに歴史が作られる。それが人間社会のメカニズムだ。それと同じだね」

p546
約二万日の人生の記述なんて、CD一枚をいっぱいにすることさえできない。それに、記述しても、記述しなくても、何も変わりはない。