『聖の青春』
大崎喜生著
腎臓病を抱えながらもA級棋士として活躍した村山聖の一生を書いたもの
まあおもしろかった
本によって他人の一生を知ることは実に楽しい
いろんな考え方にふれられる
大人は弱者を見捨てる
自分は弱者を助けたい
将棋は人を蹴落としているのではという悩みを抱えている
その悩みを振り払うために将棋で稼いだ金を貧しい子供たちへの寄付や災害地への救済金を多額払っている
将棋が出来たらもっと楽しめたんだろうな
こんなに早く自分の将来を決められるだけですごいと思うな
p45
母と妹はそんな善治少年の将棋の相手をつとめた。途中まで指すと善治が将棋盤をひっくりかえし、不利になっている母妹連合軍の側を持ってまた指しつづけたというのはあまりにも有名な話である。
p109
「どうして、せっかく生えてくるものを切らなくてはいけないんですか。髪も爪も伸びてくるのにはきっと意味があるんです。それに生きているものを切るのはかわいそうです」
p207
深酒をしても、麻雀で徹夜をしても森は決して怒らなかった。それによってしか得ることのできないものがあることを森は知っていたし、そしてそれがどんなに無駄にみえたとしても決してそうではないことも知っていた。少年時代から入院と対局を繰りかえしてきた村山が、それ以外の人生の広がりを模索することはむしろ、ごく自然なことのように森には思えていたのである。
p213
何のために生きる。
今のおれは昨日の俺に勝てるか。
勝つも地獄負けるも地獄。99の悲しみも1つの喜びで忘れられる。人間の本質はそうなのか?
人間は苦しむために生まれたのだろうか。
人間は必ず死ぬ。必ず。
何もかも一夜の夢
p263
「森というのは純情をヘドロでくるんだような男です。」
p284
「神様が一つだけ願いをかなえてくれるとしたら何を望みますか」
それに対して、村山はたった4文字でこう答えている。<神様除去>
p387
子供は大人が考えるよりはるかに大きな、しっかりとした視野を持っているのではないか。