『タイタンの妖女』

カート・ヴォネガット・ジュニア

おもしろかった


聖の青春にも出てきたカート・ヴォネガット
これはいいSF

不満があるとすれば訳が直訳過ぎて超読みにくい
海外作家のはだいたいそうだけどこれはたぶんひどい
運命というか誰かの意志によって運命づけられてるところは
オイディプスを思い出させた

ちょくちょくわからないネタがあったな
喝采と椅子をかけるとか電信室と倉庫をかけるとか
進歩と食べ物・けつをかけるとか
どういう意味なんだろ
アメリカンジョークかな

借りちゃった、テントっていう行進の呼び声とかもわからん

ラムファードは妻ビアトリスとマラカイが夫婦となり、火星、彗星、タイタンをめぐることになると予言する


p29
「さあね。たぶん、天にいるだれかさんはおれが気に入ってるんじゃないかな」

p46
「だから、おまえたちは天に届こうと、血迷った塔やロケットを考え出すのをやめて、どうすればもっとよい隣人に、夫に、妻に、娘に、息子に、なれるかを考えよ!家庭と教会にもとめよ!」

p48
「みなさんは、明日、どちらへ行きたいのか―火星か、それとも天国か?」

p249
彼はショーマンシップを持っていた。
彼は他人の血を流すことに対して、にこやかな熱心さを持っていた。
彼は戦争が終わったあとに持ちこむべき、もっともらしい新宗教も持っていた。

p319
地球には、みずからにハンディキャップを課して、しかも幸福でいる人間が、文字どおり何十億といるのだ。
なにが彼らをそんなに幸福にしたかというと、もう他人の弱点につけこむ人間がだれもいなくなったからである。

p343
「もし、わたしたちの人生が彼にじゃまされずにそのままつづいていたとして、わたしたちにそれ以上のことができたかしら?」

p387
この生物は、彼らの目的がいったいなんであるかを見出そうとする試みで、ほとんどの時間を費やしていた。
(中略)
それを聞いて、生物たちはおたがいの殺し合いをはじめた。彼らは目的のないものをなによりも憎んでいたからである。
やがて彼らは、自分たちが殺し合いさえもあまり巧くないことに気づいた。
そこで、その仕事も機械たちにまかせることにした。

p445
「俺たちはそれだけ長いあいだかかってやっと気づいたんだよ。人生の目的は、どこのだれがそれを操っているにしろ、手近にいて愛されるのを待っているだれかを愛することだ、と」