『TUGUMI』

吉本ばなな

まあおもしろかった

すごい綺麗な物語だったな
限りなく透明に近いブルーを読んだ後だったし特に
こういう風に何か一つのことに熱中できる子っていいな
すげえバカみたいなこともしてるし
口が悪いけど

ハッピーエンドでよかった
p117の言葉は耳が痛いな

p40
シーズンが終わり、いっきょに人が減る秋口に、その淋しさを私はわざとはしゃいだりしてうやむやに乗り切ったが、陽子ちゃんは見るからにしょんぼりし、仲良くなった子供の忘れものを見て、涙をこぼしたりもした。そういう気持ちは心の中ではほんのわずかな部分だから、スポットをあてずにおくことは誰にでもできると思う。そこを見ると明らかに淋しくなるし感傷的になるから、機会の多い人ほど、そういうささいな淋しさに対する術を覚えている。しかし、陽子ちゃんは逆に、自分のそういう気持ちをとても大切に守り育ててきたようなところがあった。きっと失いたくなかったのだろう。

p50
「もし、みんなの心がかみ合わなくなって、そんな時のためにこそ、楽しい思い出はたくさんあった方がいいんだよ」

p117
「どこにでも行ければいいってもんじゃない。ここもいい所だよ。ビーチサンダルで、水着で歩けて、山や海もある。君の心は丈夫だし、君は気骨があるから、ずっとここにいても、世界中を旅している奴よりたくさんのものを見ることができるよ。そういう気がするね」