『沙耶の唄』

すごくおもしろかった
短いけど小説ひとつ読んだような
すごく不思議な気持ちになった
世界観もたまらない

沙耶の謎の生命体の感じは有川さんの「空の中」の白鯨を思い出させた
化け物を退治するのが人を殺すことになる世界
もしこういうふうに世界が見えてしまったらどうすんだろうおれは

沙耶のほんとうの姿を主人公が見るENDをつくって欲しかった

より大勢の人が信じる大多数の現実で、この世界は成り立っている。その枠からはみ出た場所に僕は踏み出してしまったのだ。

『はたして我々の恋愛感情とは何なのだろうか?効率的な種の繁栄を遂げるのに、これほど妨げとなるような精神活動があるだろうか?
学習の末期において、沙耶が古今東西ラブロマンスを貪るように読破していた姿を思い出す
彼女は人類の繁殖方法の一過程として恋愛を理解しようとした。その結果、自らの類い希なる繁殖能力を去勢する結果に終わったのかもしれない。つまり彼女は―恋をしなかったのだ』

純粋な酸素が生体にとって有害であるように、剥き出しの真実は、ヒトの精神を破壊する。
酸素は5倍の窒素で包まれてはじめて、大気として許容される。同じことだ。戯れ言で希釈された片鱗だけの真実を呼吸することで、人は健やかなる心を維持できるのだ。