『夜のピクニック』

恩田陸

おもしろかった
夏合宿を思い出した
同級生がこんだけいい奴ばっかで面白いキャラばっかだったら楽しいだろうな
それにお互い意思疎通できすぎ
自分の学校で歩行祭があったら誰とゴールするかな

p188
「うん。『しまった、タイミング外した』だよ。なんでこの本をもっと昔、小学校の時に読んでおかなかったんだろうって、ものすごく後悔した。せめて中学生でもいい。十代の入り口で読んでおくべきだった。そうすればきっと、この本は絶対に大事な本になって、今の自分を作るための何かになっていたはずだったんだ。そう考えたら悔しくてたまらなくなった。従兄弟は、闇雲に本をくれてたわけじゃなかった。うちのきょうだいの年齢や興味の対象を考えて、その時々にふさわしい本を選んでくれていたんだ。従兄弟が本をくれたときに、すぐ読んでいれば。従兄弟が選んでくれた順番に、素直の読んでおけば、こんなことはなかったのに。あれくらい悔しかったことって、ここしばらく思いつかないな」

「だけどさ、雑音だって、おまえを作ってるんだよ。雑音はうるさいけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思ったときにはもう聞こえない。おまえ、いつか絶対、あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う」

p196
確かに順番というのは大切だ。
親父が先にあの女に会っていたら。あの女が別れていなかったら。そうしたら、ここに存在する俺はどんな人間になっていただろう。いや、はたして俺は存在していたのだろうか。

p199
けれど、その沈黙はいつになく雄弁で、親密で、ちょっと暖かい感じがした。

p239
「大体、俺らみたいなガキの優しさって、プラスの優しさじゃん。何かしてあげるとか、文字通り何かあげるとかさ。でも、君らの場合は、何もしないでくれる優しさなんだよな。それって、大人だと思うんだ」

p266
みんな、ギラギラしてるからね。僕たちは、内心びくびくしながらもギラギラしてる。これから世界のものを手に入れなきゃいけない一方で、自分の持っているものを取られたくない。だから、怯えつつも獰猛になってる。
(中略)
他人から何かもぎとろうなんて思ってないし、取られても許すよってスタンスなんだ。それも、取られる前からね。

p414
みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。