『予告された殺人の記録』

まあおもしろかった

ストーリー的には大したことないんだけど構成がすごくよくできてる
よく練って書いたんだなと感じる

正直 読者が犯人という同題の小説と間違えて買ったがまあそれなりに満足できたから結果オーライ
実際その本の評価が異常に低くてこっちの本が高かったし

サンティアゴ・ナサールが殺されるまでを
すでに殺されてからしばらく経過したあと主人公がみんなから話を聞く形を取っている

なぜ町のみんなはサンティアゴ・ナサールが死の危険にあることを知りながら、
また、ビカリオ兄弟が殺すであろうという事を知りながらこの殺人を阻止できなかったかが
違和感のない形でさまざまな角度から描かれている

ちょっと登場人物が多すぎて名前がわけわからなくなるけど

バヤルド・サン・ロマンとアンヘラ・ビカリオが司教の訪問に合わせ婚約する
→初夜にアンヘラ・ビカリオが処女じゃないと判明
→婚約解消
→アンヘラ・ビカリオの処女を奪ったのはサンティアゴ・ナサールだと自身が告白(実際のところは不明)
→アンヘラ・ビカリオの兄弟たちが激怒
サンティアゴ・ナサール殺害

みんなが危ないとわかっていながらうまく行動しない
これが共同体のメカニズムってやつなのか

p69
ビカリオ兄弟は仕返しをするよりも、それを阻んでくれる人間を見つけることの方を願っているにちがいないと、確信してた。

p115
けれども、犯行を阻むために何かできたはずでありながら、それをしなかった人々の大方は、名誉にかかわる事柄は、当事者しか近づくことのできない聖域であるということを口実にして、自らを慰めた。