『グレート・ギャッツビー』

スコット・フィッツジェラルド
村上春樹

おもしろかった
これが評価されるのはわかる
読みおわって感じたことはまるで映画みたいな本だなってこと
読後が一本の映画を見終わったかのようなすっきり感
まあ実際映像化してしまったら独特の表現とか雰囲気とか表せないだろうけど

主人公のお隣のギャッツビー
主人公の友達のトムとデイジー夫妻
ギャッツビーとデイジーは昔の恋人
しかし戦争で離ればなれになり待ちかねたデイジーはトムと結婚してしまった
再びお金持ちになり帰ってきたギャッツビーは主人公を仲介にデイジーとよりを戻そうとする
しかし離れていた5年間でギャッツビーの思いは強くなりすぎ過去だけを追い求めるギャッツビーは最終的に失敗する

メッセージ性もあるし人間関係もわかりやすいそして登場人物も個性豊か
正直ちょっとわかりにくいとこもあったけど訳としてはどうなんだろ
野崎訳のも持ってるから読み比べしたいな
原本も読みたいし


最後らへんの文章はとてもきれいで好き

p177
なにしろ五年近くの歳月が経過しているのだ!デイジーが彼の夢に追いつけないという事態は、その午後のだって幾度も生じたに違いない。しかしそのことでデイジーを責めるのは酷というものだ。結局のところ、彼の幻想の持つ活力があまりにも並はずれたものだったのだ。それはデイジーをすでに凌駕していたし、あらゆるものを凌駕してしまっていた。

p241
「いいか―僕とデイジーのあいだには、君には知りようもないことがいくつもある。君はご存じないが、僕ら二人にはどうしても忘れられないってことがな」

p278
まず彼は儀礼的にこくりと頷いた。しかしそのあとで相好を崩し、例のすべてを了解するような留保なき笑みを浮かべた。まるで「我々はそのことをお互いに知りつつも口には出さず、いざという時のために大切にとっておいたんですよね」とでも言わんばかりに。

p344
フィッツジェラルドという作家は、自分が体験したことや、自分が目撃したことをもとにして物語を拵えていくタイプなので(だからこそ彼はゼルダという台風の目のようなアクティブな女性の存在を身近に必要としたのである)、このグレート・ネックでの騒々しい日々がなかったとしたら、おそらく『グレート・ギャッツビー』という傑作は誕生していなかっただろう、あるいはまったく違ったかたちのものになっていただろうと推測される。