『すべてがFになる』

おもしろかった
トリックというより犀川先生の思想が気に入った
理系側だったらもっと楽しめた気がする





ちびくろサンボ

p33
「たぶん、やっと他人のことに興味が持てるくらい、博士は頭が悪くなったのさ、きっと…」

p45
「いいかい?それは有機質だ。木でできているからね。それから自己防衛機能がある。倒されても起きあがるだろう…。それに、ポテンシャルエネルギィを運動エネルギィに変換している」
「自己繁殖はしないわ」
「ところが、その起きあがりこぼしは、ものすごく可愛らしいんだよ。だから、それを一目見た人間はそれが欲しくなる。そのため、どんどん生産される。つまり、可愛らしいという自分の能力で、結果的には自己繁殖していることになる」

p79
人間が作った道具の中で、コンピュータが最も人間的だし、自然に近い」

p184
「大丈夫です。先生こそ……、お疲れでしょう?」
「そうね、マカデミアナッツよりは、ちょっとましかな……」

p279
「どこにいるかは問題ではありません。会いたいか、会いたくないか、それが距離を決めるのよ」

p289
「思い出は全部記憶しているけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」

p301
「高層ビルの現場では、あのクレーンは、工事現場の進展とともに、どんどんジャッキアップされて、上がっていくんだけど……、ビルが完成した頃には、一番高いところにのっている。どうやって、屋上の大きなクレーンを下に降ろすと思う?」

p357
「先生…、現実って何でしょう?」
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」
「普段はそんなもの存在しない」

p430
「日本では、一緒に遊ぶとき、混ぜてくれって言いますよね」
「混ぜるという動詞は、英語ではミックスです。これは、もともと液体を一緒にするときの言葉です。外国、特に欧米では、人間は、仲間に入れてほしいとき、ジョインするんです。混ざるのではなくて、つながるだけ……。つまり、日本は、液体の社会で、欧米は個体の社会なんですよ。日本人って個人がリキッドなのです。流動的で、渾然一体になりたいという欲求を社会本能的に持っている。欧米では、個人はソリッドだから、決して混ざりません。どんなに集まっても、必ずパーツとして独立している…。ちょうど、土壁の日本建築と、煉瓦の西洋建築のようです。」